← コラム一覧へ戻る

「ダブルケア」——親の介護保険サービスと、子どもの障害福祉サービスを同時に利用しているご家庭へ

公開日:2026年9月2日

まず結論

「ダブルケア」に障害福祉サービスが重なると、介護保険と障害福祉という根拠法も窓口も別の制度を同時に相手にすることになります。ケアマネジャーと相談支援専門員、それぞれに同じ説明を繰り返す負担が生じやすい構造を整理します。

まず結論・ポイント

老親の介護保険サービスと、お子さんの障害福祉サービスを同時に利用しているご家庭は珍しくありません。この2つは似ているようで、根拠となる法律(介護保険法と、障害者総合支援法・児童福祉法)も、窓口も、担当する専門職も別の制度です。

介護保険サービスはケアマネジャー(介護支援専門員)がケアプランを作成し、居宅介護支援事業所に所属します。障害福祉サービスは相談支援専門員がサービス等利用計画を作成し、相談支援事業所に所属します。役割としては似ていますが、制度としては独立しており、両者の間で情報が自動的にやり取りされる仕組みはありません。まず押さえておきたいのは、「介護と障害福祉、両方使っているなら、窓口も担当も基本的に別々に存在する」という前提です。

こんなことに困っていませんか

  • 親のケアマネジャーと、子どもの相談支援専門員、それぞれに同じような家庭の状況説明を繰り返している
  • 介護保険の用語と障害福祉の用語が違い、どちらに何を伝えればいいのか分かりにくい
  • 親の通所・訪問系サービスの予定と、子どもの通所系サービスの予定を、別々に把握・調整している
  • 家族の中で、結局一人が「両方の窓口役」になってしまっている

いわゆる「ダブルケア」(育児と介護を同時に担う状態)の文脈でもよく指摘される負担ですが、単に体力的・時間的な負担だけでなく、「制度が違うために、情報を整理する仕組み自体が用意されていない」という構造的な問題でもあります。

介護保険と障害福祉サービス、制度としての違い

簡単に整理すると、次のような違いがあります。

  • 介護保険サービス:65歳以上の方、または40〜64歳で特定疾病により要介護・要支援認定を受けた方が対象。ケアマネジャーがケアプランを作成し、訪問介護・通所介護(デイサービス)などを利用する。
  • 障害福祉サービス(障害者総合支援法):障害のある方(年齢を問わない)が対象。相談支援専門員がサービス等利用計画を作成し、居宅介護(ホームヘルプ)・生活介護などを利用する。
  • 障害児通所支援(児童福祉法):障害のある、またはその可能性のある子どもが対象。就学前は児童発達支援、就学後(6歳〜原則18歳)は放課後等デイサービスなどを利用する。

親御さんが要介護認定を受けて介護保険サービスを、お子さんが障害児通所支援を利用している場合、根拠法も、担当する専門職も、利用計画の名称も、それぞれ別々になります。

具体的なケース

例えば、要介護状態の母親と、放課後等デイサービスを利用している子どもがいる家庭を考えます。母親についてはケアマネジャーが月1回程度のモニタリングを行い、訪問介護やデイサービスの調整をします。子どもについては相談支援専門員が別途モニタリングを行い、放課後等デイサービスの利用状況を確認します。

母親の体調が急に変化した日と、子どもの学校行事が重なった、というような場面では、家族はケアマネジャーへの連絡、相談支援専門員への連絡、それぞれの事業所への連絡を、別々のタイミングで行うことになります。どちらも「その日の家庭の状況」を必要としている点は同じでも、伝える相手も記録の仕方も別々なのが実情です。

一般的な対応・整理方法

多くのご家庭で行われている工夫には、次のようなものがあります。

  • 親・子それぞれの担当者(ケアマネジャー、相談支援専門員)の連絡先を一覧にしておく
  • 家族用のカレンダーやノートに、利用者ごとに予定を書き分けておく
  • 月1回程度のモニタリングの機会に、直近の状況をまとめて伝えられるよう準備しておく

ただし、モニタリングは月1回程度の頻度であることが多く、日々の細かな体調変化や急な予定変更までは、そこで拾いきれないのが実際のところです。そのため、結局は家族がその都度、両方の窓口に個別に連絡することになりがちです。

複数の制度・複数の支援者が関わる場合に考えたいこと

介護保険と障害福祉サービス、どちらの制度にも、ケアマネジャーや相談支援専門員による定期的な調整の仕組み自体はあります。ただしそれぞれが担当するのは、あくまで「その制度・その利用者」の範囲です。親の介護保険サービスと子どもの障害福祉サービスを横断して調整してくれる専門職は、制度上想定されていません。

その横断的な役割は、結果として家族が担うことになります。「介護保険の話」と「障害福祉の話」を、家族の中で整理しながら、それぞれの担当者に必要な分だけ伝える——という作業自体が、日々発生していると言えます。

なお、自治体によっては、こうした複数の制度にまたがる複合的な課題に対応する窓口として、地域包括支援センターや、近年広がりつつある重層的支援体制整備事業による相談窓口が用意されている場合もあります。ただし、これらはあくまで相談・調整の入り口であり、日々の各事業所とのやり取りや、予定変更のたびの個別連絡までを代行してくれるものではありません。困ったときに相談できる窓口があることと、日常的な連絡調整が家族の役割として残ることは、別の話として捉えておくとよいでしょう。

家族を中心に支援者がつながるという考え方

制度が別であっても、家族という単位で見れば、関わっている支援者・事業所は一つの生活を支えるチームです。ケアマネジャーも相談支援専門員も、各事業所のスタッフも、家族を中心にゆるやかにつながれる場があれば、「同じ話を制度ごとに繰り返す」という負担を減らせる場面があります。

TactCareという選択肢

TactCareは、家族を中心に、契約している複数の事業所の担当者をひとつのコミュニティへ招待できるサービスです。介護保険サービスの事業所も、障害福祉サービスの事業所も、制度の違いにかかわらず同じコミュニティに参加できます。また、1つの家族アカウントで複数の利用者(親御さん・お子さんなど)を登録できるため、予定は利用者ごとに分けて管理しながら、必要な連絡は家族を起点にまとめて行えます。

よくある質問

Q. 親の介護保険サービスと、子どもの障害福祉サービスは、同じ窓口で相談できますか?
A. いいえ、原則として窓口は別々です。介護保険サービスは市町村の介護保険担当課とケアマネジャー(居宅介護支援事業所)、障害福祉サービスは市町村の障害福祉担当課と相談支援専門員(相談支援事業所)が窓口になります。根拠となる法律(介護保険法と障害者総合支援法・児童福祉法)自体が別なので、制度として統合されているわけではありません。
Q. ケアマネジャーと相談支援専門員、それぞれに同じ話を繰り返す必要がありますか?
A. 制度上、両者の間に情報を自動的に共有する仕組みはありません。ケアマネジャーは介護保険サービスの利用者(親御さんなど)について、相談支援専門員は障害福祉サービスの利用者(お子さんなど)について、それぞれ独立にケアプラン・サービス等利用計画を作成するため、家庭の状況を伝える相手として両方に個別に説明することになりやすいのが実情です。
Q. 1つの家庭で複数の利用者(親と子など)を管理する場合、情報はどう整理すればいいですか?
A. 決まった正解はありませんが、まず「誰の・どの制度の・どのサービスの話か」を意識して記録・共有する習慣が助けになります。紙のノートやカレンダーで管理している家庭も多いですが、利用者ごと・制度ごとに情報が分散しやすいため、予定や連絡を一箇所にまとめられる仕組みがあると確認の手間を減らせます。

制度が違っても、関わる支援者をひとつのコミュニティに。

介護保険・障害福祉サービスなど、制度をまたいで関わる複数の事業所の担当者を、家族を中心にひとつのコミュニティにつなげます。利用者ごとに予定を分けて管理しながら、必要な連絡はまとめて行えます。

TactCareについて相談する

関連記事